恋心


意図せずに持ち歩いていた
習慣のようなもので
今はもう必要ではない

どこで落としたのだろう
ポケットの中か
カバンの奥底に入れていたはずだ
大事にしていたのは先週まで
でも誰かに拾われたくはない
何と分からなくなるほど踏み潰されるのも
耐え難い

ずっと探している
輪郭を描いて
感触を確かめるように
指の関節を動かす

足元ばかり見ていたら
気持ち悪くなった
空を見上げてみたら
涙腺が緩んだ
目の前を見たら
みんな同じ顔だった