外套2
脱ぎ捨てられた外套を見つけた
あっちにもこっちにも
遠くのほうにも見える
道路に転がっている外套
枝に揺れている外套
椅子にかけられたままの外套
僕が欲しくて堪らない外套
喉から手が出るほど求めている外套
着古した外套もあれば
まだ新品同然の外套もあった
持つ者は酷い
酷いと思わないことが何より酷い
呆れるほど簡単に手放す
半日も経たないうちに
新たな外套を身につけている
持たざる僕は
目の前の外套を拾えない
剥き出しの孤独は風に晒されて
泣きそうになのに笑っていて
また笑う
何度も笑う
もうずっと笑顔が剥がれない
↓
↓
↓
外套
孤独をなくす方法なんて
本当は誰も知らないんだ
誰にだって孤独はある
違うのは孤独を覆い隠す外套を
着ているか着ていないか
それだけで人は
持つ者と持たざる者に分かれる
最初から持っている奴は羨ましいなあ
僕は持っていないんだ
今も手にできずにいるんだ
風当たりが強いから
すぐに涙腺が緩む
持ってるふりはもう疲れたよ
半分でいいから
僕に外套をくれないか
(詩集『ハローグッバイデイズ』収録)