391
痛みが当たり前になる
痛いことを忘れてしまう
悲しいと思わなくなる
悲しみが増えていく
僕はきっと泣いている
涙は頬を伝わない
誰も僕に気づかない
笑顔に歪みはなくなった
392
善も悪も神様の贈り物じゃない
社会が植えつけた種だ
どちらが育っても
人に裁定する権利はない
393
天使が羽をなくしたら天使なのか
悪魔が牙をなくしたら悪魔なのか
人間は何を以って人間なのか
私は何を以って私なのか
394
鍵をかけなくちゃ
誰も入ってこないように
僕がいくら叫んでも
それは言葉であって言葉じゃない
鍵をかけなくちゃ
心が何も感じないように
僕がいくら泣いたって
それは涙であって涙じゃない
早く鍵を
固く鍵を
僕しか僕を守れないから
鍵をかけたら飲み込んで
僕を僕に閉じ込めなくちゃ
395
私が人を殺さないのは
罪を恐れているからではない
何より罰を恐れている
人が人に与える罰を恐れている
396
397
398
399
400