381

彼が好きで
彼女が好きで
二つの指輪が少し嫌い



382

君を縛っているのは君自身だと気づいた時
君はずっと自由だったことを知る



383

彼の手が私に触れる夢を見た
彼の指が私をなぞる夢を見た

愛と名づけて応えようとした瞬間
私は朝に目覚めてしまった



384

幸福を この胸に飾ろう
たとえそれが誂えでも
たとえそれがまやかしでも
たとえそれが明日消えてしまうとしても
幸福は 愛でなければならない
幸福は 愛でることで価値を保つ



385

僕を支えている僕
もしくは
僕を縛っている僕
がついに手を離した

向かう先は
温かくて柔らかい
冷たくて滑らかな
涙がこぼれるほど
懐かしい闇



386

あなたに形を贈ります
僕をどこにいても思い出してくれますように
僕をどんな時も忘れないでくれますように
僕をいつまでも覚えていてくれますように
祈りにも似た 呪いにも似た
僕の切なる愛情です



387

私のことは知らなくてよい
知ったところでどうにもならない
何も変わらない
あなたが本当に求めているのは私ではない



388

あなたは私を愛していますか?
そうであれば何を愛していますか?

あなたは私を愛していますか?
そうであればどのように愛していますか?

あなたは私を愛していますか?
そうであればいつまで愛していますか?



389

この感情を言葉にすると安くなる
蹴飛ばせそうなくらい軽くなる
だからと言って
他の何かにも代えられない
君に伝えたいのに
君に分かってもらいたいのに
僕はとても無力だ
もどかしさに拳を振り上げた
下ろす先には痛みが待っている



390

星のかけらが願いを叶えてくれるなら
絶壁の花が願いを叶えてくれるなら
魔法使いが願いを叶えてくれるなら
聖なる天使が願いを叶えてくれるなら
僕は今すぐにでも部屋を飛び出して
靴を磨り減らして駆け回り
汗を流して草の根を掻き分け
荒れ狂う海にも
渦を巻く風にも
飢えた獣にも
恐れることなく立ち向かってゆくのに
僕は今も夢の中にいる