361

塞がらなかった傷口から
音を立てて血液が
今も垂れ流し
知らないのも無理ないさ
君には何も見えていない

ああ、とても可哀想だね
ああ、とても愉快だね


362

ふっとろうそくの火を消すように
忽然と執着が消える
目の前にいる君が
ただの石ころにしか見えなくて
蹴り飛ばすこともせず
僕は黙って通り過ぎた


363

魚のように口を
ぱく ぱく
ぱく ぱく
閉じて開いて閉じて
何を言おうとしていたのか
もう忘れてしまった


364

私の世界では
愛はファンタジー
どうやら君は違うようで
ねえ こっちへ来るかい?
君に来れるかい?
出口はないよ


365

大事なのは才能か?
一歩を踏み出す勇気じゃないか?


366

私の知らない世界が知りたい
君が持っている世界が知りたい
君の知らない世界が知りたい
私が持っている世界を君に知らせたい


367

君に会ったら僕はどうするんだろう
君に会ったら僕はどうなるんだろう


368

寂しいのは 悪いことじゃないよ
悲しいのは 悪いことじゃないよ
その先にあるものを大切にしよう


369

すぐに誰かに縋りつける弱さを羨んだ
すぐに誰かを振り切れる強さを羨んだ

僕はどちらも持っていない

君は弱いのか強いのか
僕は弱いのか強いのか


370

言わないと分からないよ
分からないことだって分かりっこない