351

大丈夫
さあ目を閉じて
眠っていいよ
きっと許してくれる

誰が?

誰に?


352

大人はずるいね
ぼくの口にはピーマンを突っ込むのに
自分の嫌いな物は
目の前に置くことすらしないんだ


353

私は醜い
醜かったのではない
醜くなったのだ

泥を撥ねられたのではない
顔面から転んだのではない
刃物を切りつけられてもいない

何のためか慎重に
ゆっくりと時を経て歪んでいった
痛みは少しもなかった

今はもう生まれつきのような気がしている
悲しいことは
悲しいと思われることだ


354

笑っている僕を見ている僕

泣いている僕を見ている僕

夢を見ている僕を見ている僕

君を愛する僕を見ている僕

僕は僕を見ている
君のことは見えちゃいない


355

逃げて
とことん逃げて
呆れるくらい逃げて
倒れ込んで気づいた
ここはスタート地点だ


356

悲しくて笑った
嬉しくて唇を噛んだ


357

寂しくてはしゃいだ
満たされて押し殺した


358

窓の縁に腰をかけた
星がきらきら瞬いている
夜空を眺める振りをして
カウントダウンを始めます


359

サヨウナラって口ずさむ
いつか本当になりますように


360

駆けていく背中を
黙って見送る
僕をどうか
許してください
そしてどうか
振り返らないで
そのまま
そのまま
疾風に消えてゆけ