331
僕を見る君の目が
みるみるうちに乾いていく
僕が何をしたって言うんだ
こんなところまで来なくてもいいだろう
ああ嫌だ
もう嫌だ
これは夢だ
夢だけにしてくれ
332
君は僕を見つけられるだろうか
僕は君を見つけられるだろうか
どんなに時間が流れても
どれほど人が溢れていても
互いを見つけられたら
二人はもう一度やり直せる
333
好きな人が好きになってくれるのは運に近い
結ばれない可能性のほうが高く
気持ちさえ受け入れてもらえないことだってある
それでも君に伝えたい
溢れる言葉を叫びたい
世界中に轟かせたい
好きになったらいてもたってもいられないんだ
334
泣いたって喚いたって無駄さ
そもそも世界が違うんだ
歩く速さも
呼吸の仕方も
映す景色も
善悪も
何もかもが重ならない
逃げろ
逃げることで戦え
335
君はとても優しいから
私は言葉を失ってしまう
結ばれたいと願うのに
何一つ伝えられない
私はとても切なくて
君は無邪気に微笑んでいる
結ばれたいと願うのは
私だけなのだろうか
336
無傷な人はいないと
心に言い聞かせてみるけれど
他人はきれいで
僕は顔も体も汚れていて
目を閉じたら何も見えない
空の端っこに座ったら
君は見えなくなるかな?
僕も見えなくなるかな?
光に紛れて何でもなくなろう
337
雨が降っている
人々は傘を差している
合羽を着ている人もいる
私は何も持たず身につけず
頭の先から濡れていく
体の芯から冷えていく
何だか愉快だ
踊り出したくなる
おかしくて楽しくて
笑いが止まらない
私は運命に縛られていない唯一の人間
限りなく自由だ
今からどこへでも行ける
どんなことでもできる
さあ
338
子供は無垢で邪悪だ
ありとあらゆる武器を手にし
ありとあらゆる方法で傷をつける
大人は誰も太刀打ちできない
339
ゆりかごで眠る夢
記憶はないが
母親の腕に抱かれているような
温もりと感触に包まれる
何度も見たいけど
また巡る可能性は低い
住み慣れた闇が迫ってくる
僕はただ眺めている
340
元に戻るってどこへ?
どこから来たのか分からないのに
どこへ戻るって言うの?