281
祈るなら俺にしな
ここには神はいない
俺しかいない
282
子供も大人も
男も女も
神も仏も天使も悪魔も
なりたがりのなり損ないさ
283
特別な
重大な
そんな言葉じゃなかった
あの日僕を壊したのは
何の変哲もない
日常の一言だった
284
ねえどうか
ねえどうか
私のようにならないで
最後まで笑っていてほしい
神様 願いを聞いて
あの子に叶えて
285
同じ幸せが続くとは限らない
幸せは壊れる
そして形を変える
とても悲しいことだ
だけど
幸せは決してなくならない
286
強くなど生きられない
別にいいだろ
そういう人間がいたって
287
自分の手の冷たさは
自分で知ることはできない
自分の心の温度は
自分で知ることはできない
触れてみよう
伝えてみよう
君に教えてみよう
288
大人にはなれなかった
ブラックコーヒーに慣れても
煙草を覚えても
恋で遊べても
何になったんだろう
何になるんだろう
289
許されることが
許されないような
感覚が
二分置きにやって来る
笑顔を潰しても
涙は出てこない
さぞかし醜い表情をしているだろう
体は罪を知らなくて
心は
すっかり穴だらけだ
290
本当のことが
正しいのか
正しいことが
必要なのか
分からない
手の中で
砕く
傷は膿み
誰もが
目を逸らす
醜さ
は
真実に似て
刃を象る
振りかざすなら
それこそ
最大の
悪
になる