251

僕はずっと探しているんです
同じ言葉を持つ人を
同じ言葉で語り合える日を

たくさんの人と出会いました
ただ一人とも通じ合えませんでした
不思議なことです
同じ場所で生まれても
同じ血を分けても
同じ環境で育っても
同じ時間を過ごしても
同じ道を歩いても
同じご飯を食べても
同じ景色を見つめても
重なることはありませんでした

なぜでしょう
どうして僕達はこんなにも違うのでしょう

僕は決めています
同じ言葉に出会うことができたなら
最初に聞きたいことがあります

「初めまして。あなたの名前は何ですか?」


252

目の前に道路が広がる
大小様々な自動車が走っている
夜のメインストリートに隙間はない

私は歩道を歩く
白線がかろうじて身を守ってくれている
越えることはさほど難しいことではないだろう
ほんの少し大きく踏み出せばいい

胸で深く呼吸をした
目を閉じて足に力を込める

一瞬

目を開ける
夢見た世界はなかった

また今日も生きてしまった
たぶん明日も生きてしまうのだろう


253

これは闇じゃない
暗いだけだ
輪郭が分かる
微かだが色が見える

本当の闇は頭の中にある
僕はそれを知っている


254

僕の死に触らないで

通り雨だよ
何もしなくても乾くから


255

教えてよ 苦しいの?
堪えないで 泣いちゃいな
弱くていいじゃん
嫌いになったりしない
君が好きだから
君は僕のすべてを受け入れてくれたから
だから同じだよ
僕は君のすべてを受け入れる
どこにも行かせない
一人になんてさせない
独りだなんて思わせない
何よりも 誰よりも 君が大切なんだ


256

誰かがずっと
僕に罵声を浴びせている

誰かって誰?

僕も知らない
誰かは誰かだよ


257

悲しいんだ すごく
それなのに泣けない僕は
さぞかし冷酷に映るだろうね

泣きたいんだ ずっと
涙腺は確かにあったはずさ
どこでなくしたか知らない?

悲しんだ すごく
泣きたいんだ ずっと

叶わないんだ たぶんこれからも


258

部屋の外からサイレンが近づいてくる
やっと迎えに来てくれたの?

目の前を呆気なく通過する
音は遠ざかっていく

早く早く もう待ちきれないよ
誰か僕を連れていって

あの向こう側へ


259

側にいられなくてもいい
嫌われても構わない
遠くても君の笑顔が見られるなら
それ以外に望むものはない

ねえ こんな僕を笑ってよ


260

かつて僕達が分からなかったように
君達も分からないだろう

てゆうか、
分かってたまるかってんだ