●メイクアップ

束音(ここはどこでしょう? 私はどこ連れて行かれるのでしょう?)
Iz「束音ちゃん気持ち悪くない?」
束音「だ、大丈夫ですけど、これは一体……?」
Iz「それは着いてからのお楽しみ」
束音(車が止まった)
Aoki「束音降りるで」
束音「え、あ、はい」
Iz「足元気をつけろよ」
束音「うわっ」
Iz「あーあ言った側から……束音ちゃん失礼するよっと」
束音「あ、あー! あ、降ろしてください! 私重いからっ!」
Aoki「Izずりい。俺に代わってや」
Iz「お前じゃ様になんねえよ」
束音「降ろしてくさいい!」
Iz「断る」
束音「ええー!」

睦美「やっと来たわね」
Iz「時間遅れてないですよ」
睦美「待ち遠しかったってことよ。……この子が束音ちゃん?」
束音(だ、誰?)
Iz「そうです。じゃあ後はお任せしますね」
Aoki「めいっぱい可愛くしてください!」
睦美「まっかせて」
Jun「よろしくお願いします」
睦美「まあJun君まで……。じゃ行くわよ束音ちゃん」
束音(だから、誰だー?)

睦美「初めまして、束音ちゃん?」
束音「え、えーと」
睦美「私はAoki君のヘアメイクやってる睦美です」
束音「あ、そうなんですか。束音といいます。初めまして。えーとこれは一体どういう状況なんですか?」
睦美「束音ちゃん肌のお手入れちゃんとしてる? 少し荒れてるじゃない。髪もぱさぱさ、うーん癖が少し入ってるわね。髪質も太い、か」
束音(普通にスルーされた)
睦美「俄然やる気出るわ」
束音「あ、あの……」
睦美「さあ、可愛くしてあげる」

束音「嫌です! 離してください!」
睦美「大丈夫って。すごい可愛いから」
束音「無理、無理」
Iz「何か騒がしいな」
Aoki「束音の声やん」
束音「わああ!」
Iz「お、おお……」
Aoki「……」
Jun「……」
束音「ほら、だから嫌だったんですよ! 皆さん固まってるじゃないですかあ!」
睦美「違うわよ、よく見て」
束音「え……」
睦美「ちょっと何か言いなさいよ」
Aoki「……や、マジで可愛ええ」
Iz「想像以上……さすが睦美さん」
Jun「いいと思う」
束音「お世辞はいいですよ」
睦美「もう卑屈にならないの。せっかく可愛くしたのに台無しだわ」
束音「だって私こんな服似合わないです」
Aoki「そんなことないで」
Iz「ああ。いっつも暗い色ばっかやったけど、柔らかい色も似合うな」
Aoki「お持ち帰りしたい」
束音「ななな何言ってるんですか!」
Iz「……睦美さん、とりあえず俺こいつ埋めてきます」
睦美「そうね。一回死んだほうがいいわ」
Aoki「ゆっとくけど、冗談やないで。本気や」
Iz「尚更死ね」
束音「……さすがに引きますね」
Iz「じゃああんな奴はほっといて、俺らとデートするか」
束音「この格好は嫌です。睦美さん、できれば最初の服貸してもらっていいですか」
睦美「いいわよ。てゆーかあげるわ。あっちのほうが自然体でいられるならそのほうがいい」
束音「ありがとうございます」
睦美「その顔」
束音「え?」
睦美「常に心がけなさい」
束音(睦美さん、かっこいいなあ……)